2012年6月2日土曜日

プロジェクトの今|FIDR 公益財団法人 国際開発救援財団


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プロジェクトの今

現地から届くプロジェクトの最新情報をお届けします(不定期更新)

カンボジア小児外科支援〜地方病院にも小児麻酔の技術を(2012.4.17)

 FIDRではこれまで5年間、カンボジア各地の公立病院に所属する外科医を対象に、小児外科の診療技術の研修をプノンペンの国立小児病院(以下NPH)で進めてきました。研修を終えた医師たちは、それぞれの所属病院に戻り子どもの外科治療にあたっています。

 手術に不可欠なのが麻酔。小さな子どもへの麻酔は高い技術が求められます。しかし地方病院には小児麻酔に習熟したスタッフがいないというのが、研修を終えた外科医たちに共通する悩みでした。麻酔をきちんと行うことができれば手術の幅が広がり、治療できる患者の数も増えます。

 そこで、FIDRは「地方病院麻酔スタッフに対する小児麻酔研修」を2011年5月30日に開始し、毎年継続して行うことにしました。これはカンボジア初の小児麻酔の公式研修プログラム� ��す。同年11月には第1期生である計7名が規定のカリキュラムを終え修了証書を受け取りました。

 地方病院に戻った修了生たちからは、「子どもへの麻酔に以前は大きな困難を感じていたが、現在では難なく遂行できるようになった」、「1歳以下の患者への麻酔を初めて行えるようになった」といった報告が寄せられています。

日本とカンボジアの医療交流@国立小児病院(2011.10.18)

                             水崎 那津子(看護師)

 去る7月20日、日本の歯科医師と歯科衛生士の団体「NPOカムカムクメール」のスタッフの方々と一緒に国立小児病院(以下NPH)の外科病棟内のプレイルームで共同研修を開催しました。

 カムカムクメールによる研修の前半は、外科と手術棟の看護師、プレイルームの学生ボランティア、患者保護者を対象とした「子どもへの効果的な歯科衛生指導法」の説明でした。後半は人形劇を用いて、子どもたちに歯の大切さや歯磨きの必要性などを教えて頂きました。
 NPHの看護師たちにとっても、子どもたちにとっても、「歯」について詳しい知識を得る初めての機会となりました。カンボジアでは、まだ歯の衛生に関心を持つ人は少なく、歯磨きの習慣も定着していません。甘いものはよく食べるのですが、そのまま放置し、虫歯に� ��っている子どもが沢山います。今回の研修を機に、効果的な歯磨き指導がNPHで行われると期待しています。


 9月5日には、聖路加国際病院のボランティアグループ「ルカ・ジャパン」の方々がNPHを訪問しました。病棟見学の後、「ランチョンセミナー」という形で「仕事に対するモチベーション」を題材に、NPH外科の看護師たちとディスカッションを行いました。

 このセミナーを通して、NPHの看護師たちは、日本の看護教育システムのことや、そのシステムが日本の看護師の仕事に対するモチベーションに繋がることなどを学びました。
 意見の交換を通して、日本とカンボジアの医療従事者がお互いに刺激を受け、良い経験ができました。そんな私もこの2つの共同研修で、両国の医療従事者よりたくさんの刺激を受け、引き続きここで頑張ろう!そう思う機会となりました。

アンコール小児病院研修のその後(2011.8.15)

                             水崎 那津子(看護師)

 FIDRが支援する国立小児病院(NPH)の外科の看護師たちを対象に、昨年11月から今年1月末までアンコール小児病院(以下AHC)で院外研修を行いました。新しいことに触れ、同じカンボジア人のAHCの看護師からたくさんの刺激を受けた研修から、早くも半年が過ぎました。

  自らの仕事の向上への思いが冷めぬうちに、学んだことを皆で復習しようと、手術棟看護師は5月に、外科看護師は7月に集中トレーニングをNPHで実施しました。
  トレーニングは、AHCで学んだ「緊急時の対応」「手術前後の看護」、そして大きな課題だった「外科病棟と手術棟との連携」などを、どう日常業務の中で改善していくかを自分たちで考えるもので、研修を受けた看護師全員が、責任を持って資料作りから講義までをすべて担当しました。
 パソコンに不慣れな看護師もいるため、まずその操作の仕方から教え合い、資料作りにも手を抜かなかったこと、今まで見過ごしてきた問題点をこの機会に解決したいと、トレーニングの時間を延長してとことん話し合ったことなど、彼らの姿は今までとは違って見えました。

  実は、今までNPH外科の看護師たちが自主的に物事を計画し、実行しようという意識はほとんどなかったのです。今回は彼らの意欲が本物であり、自分たちの業務を変えたい!という強い思いがあることが、はっきりと見て取れました。 私も彼らの後押しができるように、このトレーニングをバネに、一緒に業務改善を目指したいと思っています!



カンボジア小児外科支援より〜プレイルームで「子どもの日」のパーティ(2011.6.27)

                             水崎 那津子(看護師)

 外科病棟には、2006年に設置したプレイルーム(子どもの遊び場)があります。このプレイルームは、子どもの遊び場としてだけでなく、子どもたちの手術前後に抱えている不安を少しでも和らげるため、そして傷の痛みを少しでも忘れるために作られました。
 また、絵本や塗り絵、楽器などで遊ぶ以外に、子どもたちに歯磨きや手洗いなどの衛生活動を教える場所でもあります。カンボジアの大学生たちが、定期的にボランティアとして、プレイルームのこれらの活動を手伝ってくれています。

 6月1日は、カンボジアの「子どもの日」でした。通常祝日は開放されないプレイルームですが、この日だけ特別に開放しパーティーを開くことになりました。これは、「病院にいる子どもたちのために何かイベントを行いたい」と、学生ボランティアさんたちからの提案です。当日、プレイルームは風船や折り紙で飾り付けられ、沢山の子どもたちが集まりました。
 また、学生ボランティアさんたちが、お金を少しずつ出し合って買ったケーキや果物のプレゼントに、子どもたちはみんな大喜びです!中には自分がもらったものを隠し、何度もお菓子をもらいに来る子も・・・。子どもがお菓子好きなのは、万国共通のようです。おなかがいっぱいになった後は、楽器を吹いたり、パズルをしたり、ボール遊びなどをして、親たち と一緒に楽しみました。プレイルームには、いつも以上の子どもたちの素敵な笑顔がありました。これからも、このプレイルームが、入院中の子どもたちの痛みや辛さを少しでも和らげることのできる場所であればいいなと改めて思いました。
 今後もボランティアさんたちと協力しながら、プレイルームでの活動を通して、子どもたちのケアを行っていきたいと思います!

カンボジア小児外科支援より〜外科病棟の改装(2011.5.26)

                             水崎 那津子(看護師)

 外科病棟内には、重症者患者や手術後患者を一定期間集中的に治療や看護ができる「重症患者観察室」という部屋があります。ところが、この部屋が十分に機能していないという問題が長年続いています。その原因の1つに外科病棟の設計上の問題がありました。

 看護師たちは、午前中の外来診察室や入院患者の処置室での患者への対応が終了すると、重症患者観察室から離れたナースステーションで、患者記録や日々の事務作業を行っていました。このナースステーションと重症患者観察室の距離が、「意識的に定期的に、重症患者観察室に患者の様子を見に行く」という看護師の認識を遠ざける一因にもなっていたのです。
 私たちは、長年の問題を解決するために、まずは外科病棟を改装することに決めました。

 重症患者観察室のすぐ前に新ナースステーションを設けましたました。多忙な看護師たちが、事務作業を行いながら24時間患者を観察し続けることが出来るよう、新ナースステーションと同観察室のそれぞれ廊下側の一部分をガラス張りに改装しました。同観察室の目の前には、モニターや薬剤等の看護活動に必要なものと、人員が配備されました。以前まで遠かったナースステーションがすぐ前にできたことで、看護師がいつでも患者を観察できるようになりました。もう患者が看護師を探すこともありません。


 病棟もリフレッシュ、気分もリフレッシュ!看護師たちが重症患者の観察を意識的に定期的に行うことができるよう、私もしっかりと指導して行きたいと思います。


 

カンボジア小児外科支援より〜相棒、キムロン(2011.3.2)

                             水崎 那津子(看護師)

 カンボジアに赴任し、ちょうど一年になります。あっという間でしたが、とても濃い一年でした。今回は私の活動をずっと支えてきてくれた相棒、キムロンを紹介したいと思います。
 


 キムロンは昨年の5月よりFIDRカンボジア事務所に入団し、小児外科支援プロジェクトの看護師育成活動を主に担当しています。彼女は、市内の病院の外科病棟で看護師として5年の経験があり、そして英語が堪能なとても優秀なスタッフです。

 彼女は「ファシリテーター」という立場で、私と一緒に看護師の育成を担っています。「ファシリテーター」とは、例えば会議や活動などにおいて、中立的な立場を保ちながら話し合いに介入し、皆の合意や相互理解に向けて調整する役割を負った人のことを言います。
キムロンは、まさにファシリテーターの鏡です。私が提案した活動については、カンボジアで受け入れやすいように彼女がアレンジし、そして看護師たちにも分かりやすく伝え、新しい活動がスムーズに導入できるよ� ��働きかけてくれます。

 情熱と信念、そして優しさを忘れないキムロン。同じカンボジア人である看護師たちの業務が少しでも改善できるように私は頑張りたい!とよく話してくれます。時には、彼女と看護師活動について熱く語り合うことも。彼女となら、きっとこれからも二人でもっと良い活動ができると思っています。
 これからもキムロンの活躍にみなさん!乞うご期待!

カンボジア小児外科支援より〜アンコール子ども病院での研修が始まりました!(2)
(2011.1.18)

                                                水崎 那津子(看護師)

 先月の記事でご紹介した、アンコール子ども病院での研修の内容について、お話ししたいと思います。

 研修の主なトピックは「緊急看護」、「集中治療看護」、そして私が一番力を入れている「手術室看護師と外科看護師の連携」です。この両部門間の看護師たちの連携不足は、外科病棟の大きな問題であり、なかなか改善が難しいものでした。

 今回どうしても彼らにこの問題の重要さに気付いてほしく、研修の中にいろいろな工夫をしました。例えば、研修前に参加者で集まり、「手術室看護師と外科看護師の連携」についてグループ毎に考え、発表してもらいました。そして、研修中にもこの問題についてディスカッションする時間を設け、問題提起から解決策まで考えてレポートを書いたり、実際にアンコール子ども病院での連携の仕方を学び、連携の重要性について自分の目で見てもらっています。
 また、衣食住を共にする、アンコールワットなど遺跡観光も一緒にし、共通の楽しい思い出を作るなど、研修期間中出来る限り同じ体験を共有することで、コミュニケーションの改善を図っています。

  最初はぎこちなかった双方の看護師でしたが、研修が終わるころにはホテルから病院まで誘い合って一緒に行き、研修の合間にも冗談を言い合うなど、態度や表情に大きな変化が見られました。
 また研修前と研修中では連携の仕方への考えも少し変わってきているようで、4グループすべての研修が終了したら、皆が出した解決策をもとに、外科病棟の大きな問題を、皆で解決してきたいと思っています。もちろん私も彼らと一緒に考え、この問題解決に全力を注ぎたいと思っています。



カンボジア小児外科支援より〜アンコール子ども病院での研修が始まりました!(2010.12.24)

                                                水崎 那津子(看護師)

 9月の記事で紹介した「ふたつの病棟の看護婦たち」の院外研修が11月4日からアンコール子ども病院で始まりました。

 アンコール子ども病院は、世界遺産であるアンコール遺跡群のひとつ、アンコールワットがあることで有名な街、シエムリアップ市にあります。
 私も4月に一度この病院を訪問しましたが、国立小児病院の看護師たちが目指しているものを、アンコール子ども病院の看護師たちはたくさん持っていることに驚きました。それは技術や知識だけではなく、看護師の「看護」に対する姿勢、医師と看護師の関係や外科看護師と手術室看護師との連携についての意識などです。
 日本人の私が教えるべきことと、教えることができるものがありますが、「同じカンボジア人の看護師」として、彼らから刺激を受け、学べることもたくさんあり、またその方が効果的なときもあると思い、教育担当者の話し合いを重ね、今回の研修を計画しました。

 「緊急看護」「集中治療看護」「手術室看護師と外科看護師の連携の仕方」が今回の主なトピックです。病棟看護師と手術部門看護師の計4グループの合同研修となっています。
 1グループ目の研修の初日にはマネージャーの川村、看護師活動をサポートしているプロジェクトファシリテーターのキムロン、2グループ目の初日にはカンボジア事務所長の高橋も一緒に参加しました。

 みんなが期待しているこの研修、私も彼らと共に2週間過ごし、研� ��や現地での生活のサポートに努めています。普段コミュニケーションを取る機会の少ない双方の看護師がこの研修で良い関係が作れるようにと、一緒のホテル、ご飯も一緒、そしてアンコール遺跡への観光も一緒に行く計画を立てています。
 たくさんの共有できる経験と楽しい思い出を作ることが出来たらいいと思っています。次回は研修の様子についてレポートしたいと思います!お楽しみに!


人のどのような種類は、ラッサ熱を得る
 

カンボジア小児外科支援より〜「国立小児病院の看護師、堂々と研究発表!(2010.11.29)

                                                水崎 那津子(看護師)

 11月16日、17日の2日間、プノンペン市内のホテルにて、研究発表会が開催されました。カンボジア国内の看護師や助産師が自らの研究や活動内容について発表できる唯一の場であるこの研究発表会は今回で4回目の開催で、発表者は30人、参加者は過去最大の300人、保健大臣も来場し、メディアの注目を集めた大きな会となりました。

 この会で発表するためには、研究・活動内容を保健省に事前に提出し、認められなければなりません。国立小児病院からも数人応募したようですが、発表の機会を与えられたのは、私たちが支援している外科の手術棟部門に所属する看護師、ソピアただ一人でした。 ソピアのテーマは「手術棟内の感染管理」。発表が決まってから、発表の資料作りや内容について、いろいろアドバイスしました。

 そして当日。プロジェクトマネージャーの川村、看護師数名とともに応援に駆けつけました。発表する本人より、私の方がドキドキしていたかもしれません。ソピアは堂々としたもので、300人の聴衆の前でも緊張することなく発表し、質問にも動じることなく答えていました。実に立派な誰にも引けをとらない発表だったと思います。

 看護師たちが自分たちの看護を振り返り、研究し、このような場で発表するということは彼らにとって、大きな自信につながる機会になります。来年も開催されるのであれば、国立小児病院の外科の病棟部門と手術棟部門の両方から発表者を出すことができるよう、看護研究についてもサポートしていけるように努めていこうと思っています。

カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:期待の星、チャンタさん(2010.10.27)

                                                水崎 那津子(看護師)

 前任の上住看護師は外科病棟の看護師たち、一人ひとりをこのページで紹介していました。今回はそれに習って、外科病棟の期待の星、チャンタを紹介したいと思います。
 
 チャンタは看護学校卒業後、国立小児病院の外科病棟で働き始め、現在2年目ですが、自分で考えて患者さんのために行動することができ、接し方も優しく丁寧なので、患者さんから人気の看護師です。   また、やる気にあふれており、いつも私に「研修の話があったら、一番に僕に言ってね!僕は優秀な看護師になりたいんだ。」となんとも頼もしいことを言ってくれます。
 好奇心も旺盛で、地方の病院に視察に行く時も、病棟内研修の講師の役目も、そして来月から始まるアンコール小児病院での研修も真っ先に手を挙げて、率先して参加します。

 やる気や好奇心があるだけではありません。以前このページで紹介した病棟内研修のおさらいテスト(復習のためその後3ヶ月に一回開催中)。先月のテストでは、見事チャンタが最高得点を獲得!日頃の頑張りが、かたちとなって現れるとはこのことですね。
 
 彼がもっと自信をもって、患者さんに良い看護を提供できるようになるよう、私も精一杯サポートしていきたいと思います。


カンボジア小児外科支援より〜「2つの病棟の看護師たち」(2010.9.24)

                                                水崎 那津子(看護師)

 今日はFIDRが支援している外科のなかにある、病棟部門と手術棟部門についてお話したいと思います。

 日本では、病棟部門と手術棟部門の医療スタッフが手術前後の患者の状態について、情報を報告しあうなど、連携して患者さんへの看護にあたっています。
 しかし、ここ国立小児病院の外科の病棟と手術棟は隣同士にあるのに、連携があまり取れていません。手術前後の申し送りをしていないので、患者の観察が出来ていませんし、手術前後に患者を運ぶのは看護師ではなく、保護者かクリーナー(清掃職員)です。これは大きな問題です。国立小児病院における手術前後の看護の向上のた め、2つの病棟間の連携が図れるようになることを目指して、新たな取り組みに着手しました。

 いつもは病棟の看護師のみを対象としていた研修を、手術棟と合同として3回行いました。「看護過程(※)」や「緊急時に使用する薬剤」といった基礎的なことから、ルカ・ジャパン(FIDRの協力者でもある聖路加国際病院のボランティアグループ)のメンバーにも協力いただき、「日本における看護」をトピックとして取り上げました。研修の際には、看護師同士がディスカッションできる時間を設け、休憩時にはスナックを出して、楽しく会話ができるような雰囲気づくりを心がけました。

※看護過程…患者や病人に、可能な限り最良・最善のケアを提供するためにはどのような計画を立て、看護していくのが望ましいかを考え� �行動していく一連の思考と行動の流れのこと。看護師自らが医学的根拠に基づいた看護ケアを行うためにも重要なもので、実践するためには、十分な医学、看護の知識は欠かせない。


 研修後、廊下ですれ違うときに笑顔を見せる、話しかけるようになるなど、看護師たちに変化がみられるようになりました。
 11月に予定しているアンコール小児病院での研修では、両方の看護師が参加できるよう、研修内容を調整中です。一緒にバスに乗り、ご飯を食べ、研修を受け、休日はアンコール遺跡の観光をして親睦を深め、連携をさらに進められたらと思っています。

カンボジア小児外科支援より〜「ピクニック」(2010.8.24)

                                                水崎 那津子(看護師)

 8月も終盤ですが、日本のみなさんは夏休みを満喫されていますか?
 こちらカンボジアでは、8月の週末、看護師や医師たちとピクニックに行ってきました。

 これは外科病棟で3ヶ月に一度開催される、日帰りの遠出イベント。日頃のストレスを発散してリフレッシュするとともに、お互いの交流を深めることを目的として、看護師や医師たちに加え、彼らの家族も参加します。
 私は二度目の参加でしたが、彼らの親としての顔やリラックスした表情を見ることができたり、看護師たちと仕事以外のおしゃれや余暇の過ごし方などの話をして意外な一面を知ることができたりと、貴重なひ� �ときとなっています。

 ちなみに今回のピクニック先は、プノンペン市内から車で一時間ほどの外科医師の実家でした。彼の母親が振舞ってくれた雷魚の炭火焼、ジャックフルーツと干しえびの炒め物などといった特製料理や庭先でのバーベキューを楽しみ、トランプで遊んだり、昼寝したりと、皆、思い思いに過ごします。
 私は女性陣に誘われて、おしゃべりをしたり、ござで昼寝をしたり。カンボジアの田舎でゆっくり、みんなの顔もにっこり。

 これから看護師たちは本格的に救急看護や、集中治療看護のトレーニングに入ります。国立小児病院内での研修のほかにも、国内の他の病院での見学やトレーニングを計画しています。私もその準備などで忙しくなると思いますので、ゆっくりした時間を看護師たちとし� �かりと満喫しました。心機一転、トレーニングに向けて、看護師たちと準備を進めたいと思います。


カンボジア小児外科支援より〜「看護師たちの学びA:おさらい」(2010.7.5)

                                                水崎 那津子(看護師)

 前回のレポートで、毎月一回看護師たちによる院内研修が開催されており、次のテーマ「おさらいテスト」に向けて、看護師たちがそわそわしていることをご紹介しました。今回はその結果を報告します。

 おさらいテストは計15問、60点満点で、私と副看護師長のラチュナで作りました。相談した結果、過去1年の研修内容から、「火傷の看護」「感染管理」「ストマ(※人工肛門のこと)ケア」などをとりあげることにしました。

 これまで、テストを受けることは何度もありましたが、作ることは初めて。簡単な問題、難しい問題が偏らないように、また点数配分も考えて作らなければな� ��ません。そんな苦労を知ってか知らずか、看護師たちは勤務の合間を縫って勉強する人、全く勉強する気配のない人と分かれていました。

 気になる結果ですが、沢山勉強した人、普段から真面目に仕事に取り組んでいる人が一番や上位を占めていました。その一方でテスト中、教えあって高得点を狙った人も…。テストの目的は、それぞれがどれくらい理解できているかをチェックすること。結果発表の時に、テストで良い成績をおさめた人、そして、結果は悪くても自分の力でテストに取り組んだ人を褒めました。

 特に何かを伝えたわけではないのですが、しばらくみんな考えてくれていたようです。褒めること、そして諭すこと。決して怒って言い聞かせるのではなく、自らが考えてもらうように導くこと。そうするこ とで看護師たちはまた一歩、前進していけるのではないかと思います。
 なお今後は1年に一回ではなくて、3ヶ月ごとにテストをすることにしました。こまめに復習することで、身についているかどうかをよりしっかりと確認していく予定です。


カンボジア小児外科支援より〜「看護師たちの学び@:カルテの書き方」(2010.5.26)

                                                水崎 那津子(看護師)

  国立小児病院(以下、NPH)の外科病棟では、FIDRの支援のもと、毎月一回看護師たちによる院内研修が開催されています。毎回トピックは自分たちで考え、講師や配布資料の準備も看護師がそれぞれ順番に受け持ちます。疾患や薬剤に関する研修では、医師が講師を務めることもあります。

 4月の研修では、保健省から新しく導入された患者カルテの記入方法を学びました。私が日本の病院で働いている時でも、患者カルテへの看護記録には時間がかかり、そのために残業することも少なくありませんでした。カンボジアでも、処置や看護を優先するため記録が後回しになり、作業が多くなっ� ��しまうことや、サイン漏れや記録内容が不十分であるために医師に注意されたりといったことが問題になっています。

 看護記録を正しく記入するためには、看護過程(※)を意識することが大切です。しかし、カンボジアの看護師たちは看護学校で学んだきり、看護過程を活用して仕事をすることがあまりないため、看護過程を考えて仕事することが苦手な人が多いようです。今後は私も研修の講師の一人になり、看護師たちが苦手なことや必要なことを強化していけるようサポートしていきます。

 ところで5月の研修のトピックは「おさらい」。一年間の総まとめとしてテストをします!そんなわけで目下、看護師たちの間ではテスト範囲の話で持ちきりです。結果はいかに?!

※看護過程…患者や病人に、可能な限� ��最良・最善のケアを提供するためにはどのような計画を立て、看護していくのが望ましいかを考え、行動していく一連の思考と行動の流れのこと。看護師自らが医学的根拠に基づいた看護ケアを行うためにも重要なもので、実践するためには、十分な医学、看護の知識は欠かせない。


カンボジア小児外科支援より〜「A Happy New Year!」(2010.4.23)

                                                水崎 那津子(看護師)

 4月、日本だと桜の季節。学校なら新学期が始まり、会社でも新年度を迎える時期ですね。
 こちらカンボジアでは新「年度」でなく、新「年」を迎えました。4月14日から16日はカンボジアのお正月「クメール正月」。その前の日々は日本の年末と似た雰囲気で、みんなそわそわと慌ただしく、仕事もなんとなく落ち着かない感じでした。

 そんななか、日本と決定的に違うことに遭遇しました。それは「年越し蕎麦」ならぬ「年越しカレー」をいただくことです。カンボジアではどこの家庭でも一般的に行われている伝統的な習慣なのですが、ここNPHでも年末に年越しパーティーを開き、み� ��でカレーを食べるのが毎年恒例のイベントとなっています。
 外科病棟では前日から準備を開始。看護師たちがお金を出し合って材料を仕入れ、手の空いたメンバーで一日かけてカレーを作りました。一晩おいていただいたカレーは、私自身も汗だくになりながら手伝ったせいか、本当に美味しかったです。

 カレーを一緒につくったことで、現地の看護師たちの距離もぐっと縮まった気がします。年も明け、新たな気持ちで、よりよい看護を患者の子どもたちに提供できるよう、取り組んでいきたいと思います。


カンボジア小児外科支援より〜「子どもたちがリラックスできる環境づくり」(2010.3.23)

                                                水崎 那津子(看護師)

  日本の小児病院では、随所に飾り付けがされているのが一般的で、病院とは思えないほどにぎやかなところもあります。それは入院中の子どもたちに病院にいることを感じさせないよう、リラックスできる雰囲気をつくることを目指しているからです。それに対して、ここカンボジアの小児病院は壁に数枚の絵しか飾られている以外は他に何もなく、とても殺風景です。

 そこで2006年に設置したプレイルーム(子どもの遊び場)に、今回新しくポスターを貼ったり、本を増やしたりしました。国立小児病院は小児病院と言っても、新生児から中学生まで入院してくるので、おもちゃや本もそれぞ� �の年齢や発達に応じたものを揃える必要があります。ポスターも楽しい絵が描かれているものから、計算や英語のアルファベットが学べるものを選び、本も絵本から物語まで幅広く揃えました。

 ポスターをじっと見つめる子、熱心に本を読む子が増えたりと、今回のアレンジには効果があったようです。これからもっと、入院してくる子どもたちの環境を良くしていけるように取り組んでいきたいと思います。


腰痛緩和のための演習

カンボジア小児外科支援より〜「はじめまして!」(2010.2.15)

                                                水崎 那津子(看護師)

 はじめまして!
 1月20日にFIDRに入団し、カンボジアの国立小児病院に赴任しました看護師の水崎那津子と申します。前任者の上住看護師からの引き継ぎで、小児外科支援プロジェクトの看護師育成活動を担当します。
 カンボジアは大好きな国のひとつで何度か訪れていますが、仕事で、かつ、長期の滞在は初めての経験です。
 これからどんなことが待っているのかドキドキしていますが、現地のスタッフの人たちと話し合いながら、少しでも患者さまが満足する看護を提供し、病院スタッフ自身も働きやすいような病棟を作るために私も力を入れて、プロジェクトに関わっていこうと思い ます。
 

 これからその様子をみなさんにもお伝えしていきますが、初回のレポートでは、小児外科支援プロジェクトをともに進めていくFIDRスタッフを紹介します。
 小児外科支援プロジェクトのマネージャーになって3年、病院のこともカンボジアのことも熟知している川村雅章(写真中央)、開始当初からこのプロジェクトに関わっているDr.サイモン(左)、赴任したばかりの私のことをとても気遣ってくれるプロジェクトファシリテーターのソパール(右から2番目)、現地看護師のことや病院システムのことなどを教えてくれるプロジェクトアシスタントのソンバット(右)、そしてもう一人、写真には写っていませんが会計担当のユーライがいます。
 私もこのメンバーの一員として、精一杯頑張りたいと思っています。次回レ� ��ートをお楽しみに!
 

来年度に向けて集中討議(2009.12.23)

 日本では事業仕分け会議が何かと話題を呼びましたが、FIDRカンボジア事務所でも12月9日から11日にかけて、スタッフ全員で来年度の事業計画を議論しました。
 保健医療、農村開発、職業訓練・・・と異なる分野のプロジェクトに携わっているスタッフたちが、それぞれの経験や知識をもとに一つひとつのプロジェクト計画を精査し、鋭い質問を交わしつつ、より優れた活動を形成するための提言を行いました。
 FIDR設立20周年の節目となる来年度に向けて、当事務所のスタッフの間の結束も強化されました。


カンボジアの農村で、身体測定に悪戦苦闘!〜ロレイアッピア郡農村開発より(2009.8.31)

 十分な食糧を確保し、健康的に暮らせるようになることを目指すこのプロジェクトでは、8月に身体測定を行いました。子どもたちの発育状態から、栄養を十分にとり、健康に育っているかを確認することが狙いです。

 今回は、FIDRの協力者でもある聖路加国際病院のボランティアグループ「ルカ・ジャパン」の方たちが身体測定を手伝ってくださり、現地の保健センターのスタッフとともに身長、体重、上腕周囲(腕周り)を計測しました。

 身体測定は、2日間かけて3つの村をまわって実施しました(合計265人の子どもを測定)。
 子どもたちは見慣れない計測器が怖いのか、はたまた日頃ワクチン接種を行っている保健センターのスタッフが怖いのか、泣きわめいたり、暴れたりと計測するにも一苦労でした。

� ��なかには暴れすぎて、結局計測ができなかった子も。9月に第二弾が予定されているので、そのときには、少しでもおとなしくしてもらい、全員きちんと身体測定ができるよう、対策を検討中です。


カンボジアの最高級美容院「デ・グラン」で研修中!〜カンボジア少女保護自立支援(AFESIPとの共同事業)より(2009.8.24)

 カンボジアのNGO・AFESIP(アフェシップ)と共に、人身売買や性的搾取の被害を受けた少女たちを保護し、職業訓練を行い、社会復帰を目指しているこのプロジェクト。

 少女たちが受講する職業訓練の一つに、理容技術があります。
 この度、カンボジアで最高級のサービスを提供する、美容院「デ・グラン」(日本人が経営)で、現場研修を受けることになりました。
 少女たちは実際の店舗で、基礎(理容)技術とともに、衛生管理、サービス(接客)、商品管理、経営といった、店舗で働いたり、経営していくうえで必要となる知識を学んでいます。

 先日の研修では、美しい立ち方、歩き方の指導を受けました。店員たちの丁寧な指導により、歩き方という日常的な動きでさえ、接客をする上で重要となるこ� ��を学びました。
 その後、サロンでの接客も見学。店員それぞれが役割を果たし、チームとして働いていることに学ぶところも多かったようです。
 ここでの研修が将来の経済的自立の糧になることを期待しています。


カンボジア小児外科支援より〜プロジェクトの今:看護師研修inアンコール子ども病院A「学んできたことを実践したい!」(2009.3.19)

                                                  上住 純子(看護師)

 アンコール子ども病院での看護師研修が終了しました。
 10日間という短い期間でしたが、看護師たちは沢山のことを学び、刺激を受けてきたようです。国立小児病院に戻ってきた彼らの表情は明るく、前向きな気持ちが溢れています。

 看護師たちが今回一番刺激を受けたものが、「看護過程」です。
 これは患者や病人に、可能な限り最良・最善のケアを提供するためにはどのような計画を立て、看護していくのが望ましいかを考え、行動していく一連の思考と行動の流れのことです。看護師自らが医学的根拠に基づいた看護ケアを行うためにも重要なもので、実践するためには、十分 な医学、看護の知識は欠かせません。 

 カンボジアでも看護学校で看護過程を学ぶのですが、現場では看護師が医師の介助者にとどまることが多く、看護過程を活用して仕事をすることができていないのが実状です。
 研修を受けた看護師たちは、外科病棟の同僚の看護師たちを対象に看護過程についてトレーニングを行い、もう一度学びなおす機会を提供したいと提案してきました。

 もう一つ、彼らが提案してきたのが、患者に歯磨きを教えてみたいということでした。
 アンコール子ども病院の看護師たちは、患者への教育を積極的に行っていました。確かに、外科の入院患者の定員が10人で看護師一人ひとりが受け持つ患者が決まっているアンコール子ども病院と、定員が60人近くで、注射担当やガーゼ交換担当 など看護師それぞれが決められた仕事を行うシステムになっている国立小児病院ではおかれている環境が違うかもしれません。でも、できることから始めてみたい、と今後の計画を話してくれました。

 プロフェッショナルな看護師になってくれることを期待して、彼らを励まし、見守っていきたいと思います。


カンボジア小児外科支援より〜プロジェクトの今:看護師研修inアンコール子ども病院@「プロフェッショナルな看護師になりたい!」(2009.3.10)

                                                  上住 純子(看護師)

 アンコール子ども病院での看護師たちの院外研修が、いよいよ始まりました。
 初日は、オリエンテーションと病院内見学が行われ、私も一緒に参加してきました。

 オリエンテーションの中で、アンコール子ども病院の教育担当の方からプロフェッショナルな看護師としてのあるべき姿と、そのために何をする必要があるのかという話を聞いた国立小児病院の4人の看護師たち。
 「この病院の看護師は、聴診器を使って患者の状態をみたりする責任をきちんと割り当てられているし、責任を持って仕事をしている。」と驚きと感心の入り混じった感想をみなが語っていました。

 そ こで、私から彼らにこんな質問をしてみました。
 「責任を割り当てられたら、あなたも責任感を持って仕事ができると思う?責任のある仕事をしたい?」
 看護師たちは口々に、「責任を割り当てられて、医者も認めてくれたら、仕事はやりやすくなると思う」「責任のある仕事をもちろんやりたい!」と答えてくれました。
 研修初日から、アンコール子ども病院の職員から、良い刺激を受けたようです。

 同じカンボジア人のプロフェッショナルな仕事ぶりを目の当たりにし、国立小児病院の看護師たちが得ることは、もしかしたら日本人である私から得ることよりも多いのかもしれません。
 これから、約10日間がんばる彼らを応援してください。


国立小児病院の看護師紹介のその後:サンさん〜念願だった傷の処置方法を学ぶ研修を受けます!(2009.3.6)

                                                  上住 純子(看護師)

 看護師のサンさんは、以前このコーナーで止血や消毒などの傷の処置をやってみたいという思いを打ち明けてくれました。今回念願が叶って3月9日から1ヶ月間、シンガポールにある総合病院にやけどの看護ケアの研修に行くことになりました。
 彼女は、研修先のシンガポールで、自分が務めている国立小児病院と外科病棟の様子を紹介するため、プレゼンテーションの準備を始めました。資料を作成し、最近は練習の日々です。大勢の前で話すことに慣れていない彼女、すでに緊張しているようです。

 今回の研修で、技術を身につけるだけではなく、カンボジア以外の他の国の看護師の� �事ぶりを見ることにより、彼女がより視野の広い看護ケアができるようになることを期待しています。


カンボジア小児外科支援より〜プロジェクトの今:看護師たち、待望の院外研修!(2009.2.26)

                                                  上住 純子(看護師)

 3月2日から国立小児病院の外科病棟に配属されている4人の看護師が、世界遺産のアンコールワットがあることで有名な街、シアムリアップにあるアンコール子ども病院で2週間の研修を受けることになりました。
 選ばれたのは、今後リーダーになることを期待されている中堅どころと若手の面々です。

 先日、看護師たちと準備のため、話し合いました。
 看護師たちは最初、「国立小児病院にはない機械の使い方を学び、技術を磨きたい」とアンコール子ども病院にある様々な医療機材に高い関心を示したのですが、この研修は他の病院の設備や機械を見学することが目的ではなく、外� ��における看護技術に関する意見交換と看護師としての患者の接し方、患者や付き添いの家族への指導を学ぶことに力点をおいていることを説明し、今回の研修の方向性を確認しました。 

 しかし驚いたのは、ほとんどの看護師たちが、アンコールワットを見たことがないということです。理由はいろいろあるのですが、交通費のためのお金をこれまで捻出できなかったというのが一番の理由です。研修を前に最近、そわそわしている看護師たちです。
 彼らの今後に期待したいと思います。

カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の医学生紹介:カオ・チン・ファリンさん(2008.7.24)

                                                  上住 純子(看護師)

 雨季に入ったカンボジアでは、雨が一週間続くこともしばしばあります。そんな昼下がり、入院している子どもたちは退屈な午後を過ごしています。

医学生(3年生)のカオ・チン・ファリンさん

 そんな折、5月から外科病棟にやってきた医学生のカオ・チン・ファリンさんが子ども達にミサンガ(※)の作り方を教えたいということで、「ミサンガ教室」をプレイルーム(子どもの遊び場)で開催しました。
 まだ幼く、ひもを編んでいくことが難しい子は、ひもの端をしっかり押さえて、ミサンガを編みこむお手伝いをしました。
 みんなで協力して作り上げたミサンガは、とても嬉しかったようで、「ミサンガ作りは、次いつするの?」と、その後何度も聞かれました。


 入院中の子どもたちに人気の彼女ですが、彼女は外来でも患者さんやその家族からその姿勢に信頼を寄せられています。
 彼女曰く、「患者さんに対して何でもきちんと説明することはとても大切です。待ち時間が長いなどの理由で怒っている場合でも、丁寧に説明することで理解が得られると思います。」とのこと。患者さんに優しく接する姿は、輝いています。

 彼女は現在、形成外科医のヴァナ先生に師事し、3ヶ月間の予定で研修中です。
 将来、カンボジアの子どもたちのために素敵な医師になるように心から応援しています。

※ミサンガ…ひもを編みこんで作る手首飾りのこと。ひもが自然に切れたら願いごとが叶うとされている


カンボジア小児外科支援より〜「名前どおりの笑顔が戻った日」(2008.4.7)

                                                  上住 純子(看護師)


 テーさんの子どものニョムちゃん。入院生活はすでに2ヶ月を過ぎた。
 現在6歳の彼女は、小さい時に火傷を負った。その後、国立小児病院への入院を繰り返しながら、火傷の影響で硬くなり、動きにくくなった手足を動きやすくする手術を受けている。

 入院した最初の頃、彼女は笑うことも一言も話すこともなく、父親と一緒か、一人ロビーでテレビを見ることが多かった。

入院当初のニョムちゃん

 そんな彼女に病棟の看護師たちが積極的に話しかけたりと、色々な人が関わることで、彼女の心がほぐれてきた。

 入院して約2ヶ月が過ぎた頃に、彼女の初めて言葉を聞くことができた。
 「チュガニュ(おいしい!)」とパパイヤを食べて一言発した。

 こちらが驚いている暇もなく、その後は、笑顔と共に言葉がどんどん出てきた。
 そんな彼女が、ある日誇らしげにプレイルーム(子どもの遊び場)に自分自身の足で歩いてやってきた。
 他の子どもと接することを避けていた彼女が自分の殻を破り、自分の意思で行動しているという事実に子どもの秘めている力を感じた。


 ニョムちゃんの姿を見て、看護師のサンさんはこう言って喜んだ。
 「最初は笑わなかったけど、今は私たちのことを家族みたいに思ってくれているみたいで、うれしいね。」


炭水化物頭痛

 実は、「ニョム」とはクメール語(カンボジアで話されている言語)で、「笑顔」を意味する。
 子どもの小さな変化に気づける感性をもっている看護師たちに見守られ、ニョムちゃんはこれからもたくさんの笑顔をみせてくれることだろう。

カンボジア小児外科支援より〜工夫魂C「家族の姿に愛情を感じます」(2008.3.24)

                                                  上住 純子(看護師)

 【母親の愛情〜特製おむつ】

 日本で赤ちゃん用のおむつというと、使い捨ての紙おむつが最近は主流になりつつありますが、カンボジアでは、紙おむつを使っている家庭は少なく、布おむつを洗濯して使いまわすか、スッポンポンで過ごし、おしっこをする時は、床にそのまま流してしまうということもあります。
 家庭だけではなく、ここ国立小児病院でもそんなことがしばしばあり、濡れた床を拭いている光景をみることも少なくありません。

 
 さて、こちらは手術をして動けない子どものためにお母さんが準備した特製おむつ。
 下からタオル代わりの布、その上にもれないように何かのパッケージであった丈夫そうなビニール、一番上の肌にあたる部分にキッチンペーパーの順番で重ねてあり、汚れたら、キッチンペーパーだけを交換するシステムです。
 母親の清潔に対する意識の高さと、子どもへの愛情を感じます。

 【父親の愛情〜お腹で大切にあたためる】

 この男性がおなかに入れているものは何でしょう?


 正解は、輸血の血液パックです。

 カンボジアでは、輸血が必要な時は、血液センターへ家族が行き、家族の献血と交換に血液を受け取り、それ持ち帰って、患者へ輸血するシステムが基本になっています(家族が提供できない場合は、親戚、知人などが血液を提供することもあります。提供者が誰もいなくても血液は受け取れます)。

 輸血用の血液は採血された後は低温(2度〜6度)で保存されるため、輸血する際には、体温近くまで温める必要があります。日本では、血液を温める専用の機械がありますが、国立小児病院の外科病棟にはないため、この父親は、卵を温めるように血液パックをおなかに抱いています。温まれば、患者へ輸血が行われます。

 その姿には、早く元気になるようにと 父親の愛情もこめられているような気がします。


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:マダム・シロン(2008.2.8)

                                                  上住 純子(看護師)

 彼女の名前は、シロン。国立小児病院外科病棟の看護師長。みなからは尊敬の意も込めて、マダム・シロンと呼ばれていた。
 この病院での勤務歴は、20年以上になる。
 しかし、残念なことに2月3日にこの世を去った。

 マダム・シロンは、病棟の看護師に対して、時にはお母さんのように相談に乗り、時には厳しく諭し、チーム内の「和」を築きあげてきた。
 外科病棟における、彼女の存在と仕事ぶりは、言葉に尽くせないほど偉大であった。
 プライベートでは、女手ひとつで、3人の子どもを育て上げてきた一面もある。

 生前、「外科病棟の看護ケア能力をもっと向� ��させたい!」とよく言っていたマダム・シロン。
 そんな彼女の意思を受け継ぎ、これからも国立小児病院の看護師たちと共に努力していくことを約束したいと思う。


カンボジア小児外科支援より〜工夫魂B「患者さんのために」(2008.1.16)

                                                  上住 純子(看護師)

 看護師は毎日、医者の指示を受けて患者へ痛み止めや抗生物質の薬を配ります。
 そんな中、患者の家族が薬を紛失してしまわないように、患者が飲み間違えないように、注射器が入っていたビニール袋を再利用し、そこに一日分の薬を入れて渡すことを思いつきました。普通ならば、ゴミ箱に捨てられてしまうような物にも命が宿ります。
 そんな看護師たちの配慮は、薬の効用や服用方法の説明とともに、患者さんたちに確実に伝わっています。

 
 交通事故による脳内出血で、手術を受けた患者さんがいました。
 手術後も脳内に血液がたまらないよう、チューブを頭に挿入し、先端につないだボトルで吸い出していましたが、ある日そのボトルが壊れてしまいました。

 そこで、国立小児病院外科部長・ウティ医師の登場です。ささっと手作りしてしまいました。
  「ウティドレーン(※)ボトルと名づけよう」と冗談まじりに作業し、心配そうだった患者さんも和ませてしまいます。 患者さんのために、臨機応変に対応する姿に医者としての年輪を感じるひとこまです。

※ドレーン…体内に貯まるリンパ液や血液を体の外に排出するために用いられるゴム製またはシリコンなどでできたチューブのこと


カンボジア小児外科支援より〜病棟でのクリスマス(2007.12.21)

                                                  上住 純子(看護師)

 
 国立小児病院の外科病棟では、昨年より入院している子どものためにプレイルーム(子どもの遊び場)活動をしていますが、12月のこの時期らしい、楽しいイベントを開催しました。

 カンボジアでは、クリスマスを祝う習慣はありませんが、子どもたちの手型や足型でクリスマスツリーをカラフルに描きました。
 最初は、おそるおそる見ていた子ども達もだんだん、自分で色を選んで塗り始め、楽しんでいました。
 出来上がったクリスマスツリーの絵は、「早く回復しますように」という言葉を添えて、病棟の玄関に飾りました。


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:サンさん(2007.12.13)

                                                  上住 純子(看護師)

 患者の家族に、看護ケアについて説明している彼女の名前は、サン。

 1991年に看護学校を卒業後、プノンペンのヘルスセンター(※)でワクチン接種や住民への健康教育を行ったり、マラリアやデング熱を媒介する蚊が繁殖しないように地域を巡回して薬を散布したりしていました。
 長年勤めた経験が認められ、薬、包帯・絆創膏、事務用品などの物品管理を行う仕事を任されるようになりましたが、デスクワーク中心に働くのではなく、様々な症例を知り、知識を習得し、看護技術をさらに向上させたいという思いから、国立小児病院に転職しました。

 現在は、患者さんへ注射や� �を飲ませたりする仕事を中心に座る時間も惜しんで働いています。そんな彼女ですが、「本当は傷の消毒を担当したいので、消毒の仕事や技術を学べる機会がこないかな、と密かに待っているの。」とこっそり語ってくれました。

 彼女の学びへの意欲と持ち前の行動力が、思いっきり発揮され、他の看護師にもよい刺激を与えるようになれば、と期待しています。

※ヘルスセンター:日本における保健所と診療所の機能をあわせもち、原則として1万人に1箇所ずつ配置されています。住民にとって一番身近な医療施設です。


カンボジア小児外科支援より〜「早い退院を期待して」(2007.12.11)

 先日、国立小児病院の病室をふと覗くと、窓の格子にレースのようなものがかかっているような気がしました。手前には患者の父親とおぼしき男性が座ってせっせと何かをしている様子。

 部屋に入ってみました。レースに見えたのは、実は魚を獲るための網でした。テーさんという名前のこの方、網を編んでいたのです。全身のやけどと足の骨折の治療で入院する娘に付き添ってカンボジア東部の山岳地域、モンドルキリ州からやってきたとのこと。

 「この網で獲れるのは比較的小さな魚ですよ」と語るときも手を休めませんでした。病床の娘を気遣いながらも、見事な手際で、1本のナイロン糸がみるみるうちに漁網に変わっていきました。
 (コヤマ)

テーさんと娘。農業国であるカンボジアはまた、淡水魚の種類も豊富です

カンボジア小児外科支援より〜工夫魂A「やさしさがあふれる病棟でのひとコマ」(2007.11.21)

                                                  上住 純子(看護師)

 国立小児病院の病棟内では、点滴を吊るす棒にお花をつけている姿をよく見かけます。この花は、「ドッカム」と呼ばれる花で、カンボジアでは一年を通じて咲いています。
 花は、患者と家族が病院の中庭を散歩しながら摘んでくることが多いようです。また、花ではなく、葉っぱをつけることもあります。
 自然を愛するカンボジアの人たち。病棟のなかでも、自然がかたわらにあります。

 


カンボジア小児外科支援より〜工夫魂@「ペットボトルのリサイクル方法」(2007.11.12)

                                                  上住 純子(看護師)

 国立小児病院の外科病棟内で見つけた道具の数々。患者のために家族が考え出したもの、看護師などの医療従事者が試行錯誤して作った患者のための道具、心を和ませるものなどなど。
 日本では、えっ?これは?!というようなものがあふれています。

 


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:サンムーンさん(2007.10.22)

                                                  上住 純子(看護師)

 早朝の病室、「部屋を汚したら、掃除しましょう」「病院はきれいにしておく必要があるのよ」と患者の家族に声をかけて回っている彼女の名前は、サンムーン。外科病棟の副看護師長です。

 管理職として、日々看護師たちを指導するかたわら、病棟内の管理も担っています。
 「声をかけていると時々、患者の家族に煙たがれることもあるけれど、病棟内をきれいに保つのは私たちの責任だから、なんと言われても言い続けるわ」と病棟内の環境整備に情熱を燃やしています。

 看護学校を卒業してから、26年間国立小児病院に勤めており、外科病棟ができた時に内科病棟から異動し� ��きました。
 "お金持ちの人でも、お金がなく治療費の補助を病院から受けている人でも、病院内では差別しない。同じ看護ケアを提供していく"
 "家族も患者を看護するメンバーの一人。家族に指導していくことはカンボジアではとても重要なこと"
 長年の経験から得たこれらの信念のもと、今まで看護してきたと目を輝かして語ってくれました。

 家族と一緒に過ごす時間を大切にしながら、カンボジアの子どもの治療に関わる仕事ができることに責任と喜びを感じているという彼女。
 彼女の看護観を後輩たちに伝えていくことが、カンボジアの看護の発展につながっていくのではないかと思います。 


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の理学療法士紹介:チャンダヴゥットさん(2007.10 .11)

                                                  上住 純子(看護師)

 退院する子どもの家族にリハビリの方法を教えている理学療法士(※)。彼の名前は、チャンダヴゥット。

 7月に、国立小児病院に就職しました。外科病棟を中心に、患者へリハビリを行っています。
 元看護師という経験を活かして、患者に優しく声をかけながら、じっくりとリハビリを行う姿に患者も安心しています。

 カンボジアでは理学療法士はまだまだ少ないため、自分がこの仕事をすることで、人々の役に立ちたいと、看護師を経て、3年間の勉強ののち、理学療法士になった彼。この仕事についてこんなことを語ってくれました。

 「私はこの仕事が好きです。歩け� ��かった患者が、リハビリを行うことで歩けるようになったのを見ると、すごく嬉しいです。リハビリを始める最初の頃は、痛くて、泣いたり怒ったりする子どもも沢山いるけれど、大人になった時に『あの時頑張ってリハビリをしたから、今があるんだ』と思ってくれたらいいなと思います。」

 そんなチャンダヴゥットさんの将来の夢は、理学療法士を養成する学校の先生になること。
 一人でも多くの子どもたちの笑顔を見ることができるように、チャンダヴゥットさんは今日も患者の理学療法に励んでいます。

※理学療法士は、主に病院やリハビリテーション施設などで、病気や事故などで身体に障害を負った方に対して、運動障害の回復、改善をはかる治療を行う専門職です。


カンボジア小児外科支援より 〜国立小児病院の看護師紹介:ボリンさん(2007.9.25)

                                                  上住 純子(看護師)

 アニキ!と思わず呼びたくなる、頼りがいのありそうな彼の名前は、ボリン。

 看護師として、10年以上の経験を持つ彼の得意分野は、傷の消毒などの処置です。
 最近、整形外科関連の医療技術を学ぶ研修に参加し、新たな処置方法を身につけた彼。外来患者のギプス処置を行う際には、彼が医師をサポートしています。
 ギプス処置ができる看護師はまだあまりいないことから、患者がいれば夜勤明けの日も残って、処置を行っています。

 一見、仕事一筋にみえる彼ですが、おいしいものには目がありません。
 病院内での話し合いの息抜きのおやつの時、ピクニックに出か けた時、スナック菓子や炭酸飲料のあるところに、彼はいます。

 食いしん坊だけれども、豪快で頼りがいのある彼の力を今後は後輩指導にも役立てていって欲しいな、と思います。


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:ソンバットさん(2007.9.14)

                                                  上住 純子(看護師)

 交通事故にあった入院患者の爪切りをしている彼の名前はソンバット。

 昨年、国立小児病院に就職し、外科病棟の配属になった3人の看護師のうちの一人です。


 先輩のもとで、まじめに勤務している彼ですが、処置の手つきに自信がない感じがみてとれます。特に消毒は、傷をみてどのような消毒が適切かを判断し、行うことが求められる業務であるため、まだまだ知識、技術の両面で勉強する必要があり、毎日、先輩看護師からビシビシと愛のムチを受けています。
 そんな先輩の指導に応えようと努力し、注射や消毒に一生懸命に取り組む姿には、思わず「頑張って!」と声をかけたくなります。

 そんな彼、最近父親になったばかり。子どもの写真を財布に入れて持ち歩いていて、嬉しそうに見せてくれます。
 父親として娘に、胸をはって仕事の話が出来るようになる日は、もうすぐ来るような気がします。


カンボジア� ��児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:ヤンさん(2007.8.22)

                                                  上住 純子(看護師)

 真剣な表情で、患者さんの傷の手当てをしている彼の名前は、ヤン。

 昨年、国立小児病院に就職し、外科病棟の配属になった3人の看護師のうちの一人です。
 最初の頃はガーゼ交換をするにも自信のなさが現れていたのが、今では一人で10人前後の手術後の患者さんの消毒や抜糸などの業務を手際よくこなしています。

 目を引くのは、医療技術の向上だけではありません。患者である子どもへの対応には、彼の優しさがあふれています。
 診察が怖くて泣いている子どもには、冗談を言って笑わせ、じっとしていなくてはいけない子どもには、優しく説明する。いつも楽しそうに� ��事をしている彼は、子どもたちを明るい気持ちにさせます。
 こういう姿勢は、看護師に必要なものとして医療技術の習得に重点が置かれることの多いこの国において、貴重な存在です。

 患者さんに優しく接する気持ちをずっと忘れずに、看護の知識、技術を高め、カンボジアの看護を担っていく存在になって欲しいなと思います。


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:ソクノヴさん(2007.8.9)

                                                  上住 純子(看護師)

 ある日の午後、「今から注射に回るの。見て!きれいに整頓しているでしょ。」とワゴンを指差し元気よくやってきた若い看護師さん。

 国立小児病院の外科部門では、最近患者数が増えている一方、看護師さんたちの数は少ないため、点滴や与薬に患者さんの部屋をまわるのも一苦労です。
 その中でも、ひときわ目立っているのが注射や薬品が整理整頓されたワゴンと共に笑顔で患者さんの部屋をまわる彼女、スレン・ソクノヴ看護師です。
 去年看護学校を卒業し、その後国立小児病院の外科部門の配属になりました。

 昨年は、注射などの技術がまだぎこちなかった彼女です� ��、今は外科部門に入院している40人から50人の患者さんの注射にも一人で自信をもってあたっており、この一年間の成長を垣間見る事ができます。

 ある時は、入院している子どもに冗談を言ったり、家族に丁寧に対応したりする彼女が部屋に来ると病室がぱっと明るくなります。
 彼女は病気で入院している子どもや家族にとって、とても安心できる存在であり、今後のカンボジアの看護を築いていく貴重な人材です。


カンボジア小児外科支援より〜国立小児病院の看護師紹介:ラチュナさん(2007.7)

                                                  上住 純子(看護師)

 ハンマー、電気ドリル、スパナ。手元には、工具がずらりと並んでいます。

 彼の名はチュオン・ラチュナ副看護師長。日本の病院で研修を受けたことがあります。
 彼は、看護師でありながら、3種の神器さながら、ロッカーから工作用の道具を取り出し、おもむろに病棟器具の修繕、作りかえをしていきます。
 まさに看護師の鑑と言いたくなるように、色々なものを修繕し、工夫して使い、彼の頭の中は、アイデアでいっぱいです。

 今回彼は、使用していない患者用ロッカーの一部を改造し、ベッドサイドモニターのスタンドを、あっという間に作り変えました。

 動きが悪かったキャスターも付け替え、看護師の使い勝手の良いようにモニターのコード類もばっちり収納できる一品です。

 カンボジアでは、病院といえども機材類は十分ではありません。その中で、彼のアイデアと技術、行動力は、外科病棟の中でも頼りにされています。
 そして、日々看護師の技術を向上させたいという想いは、誰にも負けません。そんな彼に対してこれからも励まし、支援したいと思います。

カンボジア小児外科支援より〜FIDRスタッフとカンボジア人医師、学会で発表(2007.6)

 FIDRスタッフの石井(小児外科医)とカンボジアの国立小児病院のチュー・ホー医師が、5月31日〜6月2日に開催された第44回日本小児外科学会学術集会(於:京王プラザホテル<東京都新宿区>)でそれぞれ発表しました。

 石井は、国立小児病院の外科部門での7ヶ月にわたる活動をふまえ、途上国で医師(専門家)として支援に関わる上での利点や留意点、今後の課題などを報告しました。
 ホー医師は、医療器材や施設が十分でないカンボジアにおける臍帯ヘルニア(新生児の先天性の病気)の治療の経験について、発表しました。

 それぞれの発表後には、質疑応答・コメントの時間が設けられていました。
 石井の発表には途上国での支援活動の経験のある小児外科医より継続的な支援の難しさとコツについて� ��コメントが、ホー医師の発表にはカンボジアにおける医療現場の状況を考えるとホー医師が行った処置が妥当ではないか、と同意の意見が寄せられました。

 学会を通じてFIDRスタッフやカンボジア人医師が発信することは、FIDRのカンボジアでの取組をより多くの人に紹介する貴重な機会となりました。(2007.6 村松)

<発表題目>
 石井智浩
 Medical supporting activity for Surgical Department of National Pediatric Hospital in Cambodia
 (邦題:カンボジアの国立小児病院外科における医療支援活動)

 Hor Choeu
 Nonoperative management of large omphalocele - report of two cases-
 (邦題:巨大臍帯ヘルニアの非手術治療法-2つの事例をもとに-)

国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.4『給食棟がオープンしました』(2007.4)

 国立小児病院に待望の給食棟が完成しました。建物の完成後、配備する厨房器材の到着が輸送事情により遅れてしまい、給食棟の稼動開始もいくぶん遅くなりました。

 調理、配膳に最低限必要な設備が揃い、3月の最終週から広々とした清潔な環境での給食作りが始まりました。調理師たちも生き生きと働いています。

 4月4日には給食棟完成記念の式典が執り行われ、病院職員総出で新しい給食のスタートを祝いました。FIDRからは榊原専務理事と角事務局長が、カンボジア保健省からはエン・フー次官が出席しました。この模様は現地の新聞やテレビでも報道され、カンボジア初の本格的な病院給食の取り組みとして広く伝えられました。

 これから毎日3回、栄養を考えた食事を作り、患者に届けます。そのために� �献立を考えたり、調理師さんたちの勤務体制を整えたりとさまざまな用意が必要です。そうしたことについては次回お話いたします。

国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.3『今は何を食べているの?』はこちらから
国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.2『厨房を作る』はこちらから
国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.1『プロジェクトの意義』はこちらから

国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.3『今は何を食べているの?』(2007.3)

 夕暮れの柔らかな日差しの中、国立小児病院の外科病棟前の庭には患者や付き添いの家族たちがどんぶりを抱えている光景がありました。かわいい帽子をかぶって天秤棒を担いできたおばちゃんの売るそばを食べているのです。ヌム・バンチョックというこのそば、そうめんに似た麺に香草を乗せ、ココナッツ風味の汁をかけて1杯1,000リエル(約30円)。

 地方の村からやってきた人たちにとっては必ずしも安くはありませんが、現在、病院の給食に夕食はありませんので、入院している患者たちはこうして食事をとっているのです。使った食器は洗面器の水で洗い、次のお客さんに…。お世辞にも衛生的とはいえません。

 まもなく給食棟が完成しますと、清潔な環境で全ての患者(最大400名)に1日3食、栄養バランスを考� ��た食事を調理し、各病室に配るようになります。目下、プロジェクトは献立作りや調理師さんたちのトレーニングに励む毎日です。

国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.2『厨房を作る』はこちらから
国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.1『プロジェクトの意義』はこちらから

カンボジア小児外科支援より〜カンボジア人医師、日本で研修中(2007.3)

 カンボジアの国立小児病院のヴィティヤリット医師(技術局部長)が、1月16日から千葉県の亀田総合病院で研修に励んでいます。

 この研修の一環で、2月20日に聖路加国際病院(東京都)を訪れ、診療活動を行う上で欠かせない医療器材の保守・点検業務などをじっくり視察しました。カンボジアの病院には、医療器材のメンテナンスを専門に行う職員は、ほとんどいません。医療器材を適切に保守・点検・管理していくことは、NPHにとって大きな課題となっています。

 今回ヴィティヤリット医師は、日本でその知識・技能を持つ「臨床工学技士」(※)の草分け的存在の方から話を聞くことができました。日本に「臨床工学技士」という国家資格ができる前から、必要とされる様々なことに試行錯誤で取り組んできた同� �士の言葉には、「何もないところからだって、創り出していけるんだ」という信念が溢れていました。また、同技士はNPH訪問経験があり、カンボジアの事情をある程度理解しているため、「カンボジアではまず、医師がリーダーシップをとっていかなきゃ!」とヴィティヤリット医師を励ましていました。

 ヴィティヤリット医師は、同技士の説明に聞き入り、熱心に質問をする場面もありました。そして、「カンボジアに戻ったら、この課題にどこからどう取り組んでいくのがいいのだろう?」と真剣に考えていました。(2007.3 中川)

※臨床工学技士は、医師の指示に基づき、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う国家資格として薬事法で定められています。ただ、施設によって業務の内容は様々で、聖路加国際病院� ��おける臨床工学室の業務は、医療機器の保守点検業務及び人工心肺操作です。

国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.2『厨房を作る』(2007.1)

 「給食支援」と一口にいっても、単に食事を作って配るだけというものではありません。本当の「病院食」というものが存在しないカンボジアに、医療としての食事を始めようという試みですので、やるべきことはたくさんあります。
 今回は施設の改善についてお話しします。

 これまで使っていた厨房は古くて狭いうえ、お世辞にもきれいとはいえませんでした(前号の写真)。そこで、400の病床をもつカンボジアの中心的な小児総合病院にふさわしい調理施設をつくることにしました。

 給食の施設で第一に配慮しなければならないのは衛生管理。日本のように高度な医療設備を持っている国でも院内感染が大きな問題になっています。子どもたちが食べる食事がいつも安全であるように、厨房の設計では衛生管理 の工夫を特に重んじました。
 
 厨房内では食材や食器の移動が全て一方通行となるように作業エリアが配置されています。汚れたものと配膳前の食事とが近接することはありません。また気温も湿度も高い土地柄ですので、雑菌の増殖しやすい環境を作らないようにしています。「ドライシステム」を採り入れて厨房内部が低湿状態を保てるようにするとともに、流しや棚、調理器具などはステンレス製のものを揃えます。
 
 建設工事は去年の8月に始まり、今の時点でほぼ出来上がりました。これから器材を配置していきます。2月中旬にはカンボジア初の本格的な病院厨房が完成する予定です。
 もちろん、日頃のこまめな掃除の徹底も大切です。そのためにこれから職員への指導にも力を入れていきます。

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 建設中の厨房(10月25日)

完成間近の厨房(12月13日) 

国立小児病院給食支援プロジェクト通信−No.1『プロジェクトの意義』(2006.12)

 「医食同源」---身体の健康のためには医療も食事も同じように大切です。しかし、カンボジアでは公立私立を問わず、きちんとした給食を患者に提供している病院はありません。病気や怪我の治療のために入院しても、栄養のある食事をとることができないため、患者自身の持つ回復力を高めにくいのです。

 カンボジアの小児医療の中心的な存在である国立小児病院---FIDRは1996年からここで小児外科支援プロジェクトを行ってきました。その活動の中で患者の子どもたちが十分な栄養を摂っていないことが大きな課題であると気づきました。

 そこでこの状況を改善するため、給食支援プロジェクトが始まりました。ひとつの病院での取り組みですが、カンボジアの臨床栄養のパイオニアとも言えるプロジェクトですので、 政府や援助機関からも高い関心を呼んでいます。患者の栄養の重要性は徐々に広くカンボジアの社会に理解されていくものと期待されます。

現在の厨房の場所。この建物の一角(赤線内)が厨房です



厨房のスタッフたち。20年以上勤めるベテランです

厨房の中の様子

カンボジア小児外科支援より(2006.12)

 9月30日(土)〜10月1日(日)に日比谷公園(東京都千代田区)で開催された「グローバルフェスタJAPAN2006」でFIDRブースを訪れていただいた来訪者の方々やFIDRのボランティアの方々に手伝っていただいた「ちぎり絵」が完成し、カンボジアへスタッフが持っていきました。
 「ちぎり絵」は現在、国立小児病院のプレイルーム(子どもの遊び場)に「WE ARE ALWAYS FRIENDS」というメッセージとともに、飾られています。
 現在、もう一つの「ちぎり絵」も完成に向けて作業が進んでいます。
 
 →ボランティア情報はこちら

ちぎり絵は、プレイルームの壁に飾りました(写真左上)



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